□6月17日□
M「ねえねえ先生 ピアノ弾いて!」
マイプリティーロリータスチューデント10歳女児に袖(半袖なので腕の肉)引っ張られて言われたら ショタコンロリコン茜さん なんでも弾いちゃいますよ ほほーい。
こんな感じで家庭教師のバイトの方では最近 教え子のご要望に答えて彼女が弾いて欲しい曲をべこんばこん弾いています(もちろん教える方が終わってから)。大抵流行りの曲とかなので、彼女が購読してる月刊Pianoからおりゃおりゃー と。あの雑誌に載ってる程度までなら初見でもなんとかどっこい 弾けるかな?弾けるかな?弾けたかも!といった具合なので危なっかしい手つきで今日もほりゃほりゃ。
M「たまにはすごいの聴きたいなぁ」
え?すごいの?
M「先生のその中の見せて!」
かてきょのバイトに行く時大抵持ってるクリアケース。中には教え子さんの教本のコピーだの自分が使ってた楽譜だのがごっそり。
M「あ!これすごそう!」
と引っ張りだしてきたスコアの一番最後にあった リスト作曲「ラ・カンパネラ」
きぃぃやぁぁぁぁぁ
7オクターブにわたってずっこんばっこん指が飛ぶ難曲。ピアノ曲にはどこかの基準で難易度があって、確かこれはE(上級)かF(上級上)。最初の部分は割と簡単なのですが右手がぴんころぴんころオクターブ飛ぶのです あたしが一番苦手なタイプなのです。トリルと旋律を片手で弾かなきゃいけなかったり もう もう 大嫌い!確か高校1年の頃に頑張ったことがあったけど途中で投げたしたチックな曲でした。楽譜より全然むずいんじゃー!まともに弾けた記憶すらなひ。
M「先生 これ弾いて!」
多分後ろでママさんが見てなければ頭かち割ってバックドロップホイップとかしてました。
なんで今日に限って後ろにいるのさ 奥さん!
M「わー すごいねえこれ」(楽譜見ながら)
そうだよ!すごいんだよ!だから勘弁してよ!
そもそも自分の為のピアノの練習なんてもう2年くらいまともにしてません そもそも初見は苦手なんです そもそも動体視力鈍いんです そもそも指の筋肉弱いんです もそもそ うわーん。
M「はい!」(楽譜セット)
あらあら 用意までしてくれちゃってこのクソガキャ。
あああ なんでもうこんな楽譜本持ってきてるのさ自分。
もう ちょっとかなり心臓高鳴りーの 冷や汗だらだらーの。
あ「いや ごめん これはちょっと初見じゃあ難しいよー」
M「完璧じゃなくてもいいから弾いて!」
奥さんなんとか言ってやってよこのわがまま娘!にこにこ見てんじゃねーよ!
じっと見つめる少女。
「先生なら弾けるよね?先生だもん」的な瞳で見つめる少女。
う。
う。
ぐ。
ええーい!弾いてやらぁ!
おりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん
・・・・・はぁ はぁ
弾いたぞ ありえないくらい間違ったし実際と比べてとんでもない遅さだったけど弾いたぞ。弾いてる最中 息がつまって「ふっ!」「ふっ!」とか言ったけど弾いたぞ。汗だっくり。
あ「はい おしまーい」
と振り返ると Mちゃん 涙ぐんでるよ!
M「先生 すごぉい・・・」
はい 茜さん 有頂天。
うん やっぱいいね。げへへへ。自分の演奏で感動してもらえたりっていいね。げへへへへ。演奏じゃなくて曲とか速さに感動してたに違いないんだけどそれでも嬉しいね げへへ。
弾いてる最中 凄い顔で楽譜睨みつけてたのが怖かった との感想も頂きました えっへん。
あと間違えた時に「ちっ」って舌打ちするのも怖かった とも申されて えっへん。
そんなこんなでなんだかハーディエストだった本日のバイト。の終わり。
「先生 誕生日おめでとう」
と言って小さい包みをくれました。
え?いや あたしの誕生日10月ですよ? とびっくりしながらもなんとなくお礼。
その小さい包みはあたしが大好きなアクセショップのもので、お姉ちゃん(彼女の姉はあたしの友達)に聞いたのかな と思って開けると
ブレスレットでした。鈍色のシルバーでなんだかツボはまり。「いつもありがとうございます」と恥ずかしそうに言ってくれました。なんだか泣きそうになっちゃって すごくすごく嬉かったです。
地元に帰ってからその姉の携帯に電話したら奴自体が誕生日間違ってました。どうやったら10月7日と6月17日を間違えるのかがわからないけど 他の子とでも間違えたのかしらん。
いや でもいつかなんてどうでもいいです。
ほんとにほんとに ありがとう。
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